哀悼

ハンガリーの作曲家、ミクローシュ・コチャールさんが帰天されたそうです。

昨夜そのニュースを見て、思わず「あ!」と声が出てしまいました。

悲しいとか寂しいとかいう言葉ではちょっと表現しがたいものがあります。

うまく表現できないのですが、私の中で、また一つの時代が過ぎていった感じです。

コチャールさんの音楽と出会ったことは、私の人生の分岐点の一つ。

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人生を変えた一枚とも言える、コチャールさんの合唱曲が入ったCD。

演奏は、カンテムス&プロムジカ、指揮はデーネシュ・サボー先生。

このCDとの出会いは20年近く前。

狂ったように聴いて。

このような作曲家、演奏者、音楽を生み出した国「ハンガリー」をもっとよく知りたい。

現地に行き、風を感じ、土のにおいを嗅いでみたい。

と、生まれて初めて、異国に行きたいと強く強く心の底から思いました。

それまで一人でマクドナルドにも入れないほど一人行動が苦手だった私が、その衝動をきっかけに行動を起こし、あれやこれやでハンガリーに留学、現在に至ります。

留学も、福島で開催されたセミナーで、コチャールさんの楽曲の指揮をハンガリー人の先生に見ていただき、「あなたの学びはここではないね」とコダーイ研究所をご紹介いただいたのが大きなきっかけでした。

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留学前、東京でご本人にお会いする機会がありました。

当時は英語が全くできず、それでも、熱い想いを直接伝えたく、絞り出した言葉は「アイラブユアミュージック」。

シンプルイズザベスト。

紆余曲折を経て、当時指揮していた合唱団に委嘱・初演の機会もいただきました。

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4つの楽章のうち、2つに合唱団と私の名前があります。

諸事情で、初演の際、日本にお呼びすることは叶いませんでしたので、録音を送り。

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お手紙をいただきました。

音楽留学していながら音楽することを見失い、心が病んでいた時、私に音楽する衝動を思い起こさせてくれたのも、コチャールさんの楽曲(Salve Regina)です。

指揮研究会で、友人の振るコチャールさんの曲を歌いながら、「私ならこう演奏する」と強い欲求が湧き上がり、音楽愛を再認識したのでした。

学生時代から、指揮者として音楽に携わるようになり、

しばらくは高校時代の音楽の先生(故人)の背中を追いかけていましたが、

コチャールさんの音楽に出会ってから、自分の道を模索すようになったのだと思います。

内側から湧き出る熱い衝動に突き動かされ。

苦労して手に入れた安定した職を捨て。

新しい世界に飛び出し。

世界の広さと自分の小ささを知り。

音楽世界で生きる現実を垣間見。

名声を手に入れようとして、たくさんの大切なものを失い。

日本で言う厄年(前厄~後厄含む)ともしっかり重なったあの時代。

今思い返してみると、本当にしんどい日々でした(^^;;

しかし、やはり、あの時代があってこその今と私です。

コチャールさんはそのきっかけになった作曲家だったのだなぁ…と改めて思いめぐらす朝。

コチャールさんのLibera meを聴きながら、謹んで哀悼の意を…。

Rest in peace.

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