体験を編む
「音楽とは何か」は問いかけた人の数だけ答えがある。田村和紀夫(2012)『音楽とは何か-ミューズの扉を開く七つの鍵-』講談社
当たり前といえば当たり前かもしれませんが、結構好きな問いと答えです。
コロナ禍は、この問いと答えを何度も何度も行き来することになった期間でした。
年齢的に節目の今年、コロナ禍で深くかがんだ経験をバネに、これまで温めてきた自分が目指す合唱音楽の世界を描き出してみたいと思い、コンサートを企画しています。Music Assort Clubの運営委員をはじめ、出演者、関係者の皆様に多大なお力添えをいただいて、準備を重ねているところです。
プログラムには、ペルゴレージのスタバトマーテルとフォーレのレクイエムを選びました。
どちらも名曲中の名曲です。
たくさんの方が興味を持ってくださって、特に女声パートはあっという間に満席となりました(男声パート熱烈募集中☆)。
皆さん、それぞれの問いと答えを見出していただけたら嬉しいです。
ところで、私の問いの中にはいつも「合唱指揮者とは何か」もあります。特にコロナ禍は足元のもろさを痛感させられる出来事でした。自分の足元をより強固なものにしたいと、一念発起して大学院に進学し、現在、海外由来の「成人教育」を専門領域として研究者「見習い」をしています。
そこで私が得ているものの一つに、自分自身を編み直すという経験があります。
知識も経験も、新しい体験を経てどんどん編み直されていきます。この経験は、それまでのこだわりや自信を一度瓦解させる体験を伴うこともあって、「うへぇ」(語彙力なし…)となることもしばしば(笑)。しかし、編み直されてくると、見えてくる世界がそれまでと一味も二味も違って、本当に面白いのです。
音楽も同じだな~と思います。
音楽の演奏は一期一会でもありますしね。
全く同じ顔触れで同じレパートリーを繰り返せることは実はほとんどなく、何より人は日々成長していますから、成長・変化を続ける人同士が集まって奏でる音楽は、実は毎回新しい体験になるだろうと思います。
この秋のコンサートに向けた練習会が来月から始まるのですが。
一人一人の体験を持ち寄って、新しい音楽体験を編んでいけたらいいなと思っています。
各楽曲を美しく奏でることが目的なのは当然として、その世界にどのように踏み込んでいくのか、それぞれの曲が持つ音楽世界の魅力をどこまで体験できるか、それをかかわる人たちの手でどう作っていけるか、を皆さんと一緒に探究できたらいいな、などとも思うわけです。
合唱の魅力は、一人一人の人生と音楽が響き合っていくところでもあります。
合唱指揮者とは、そのきっかけを作る存在でもあるのだろう、とも思う今日この頃です。
初回の合わせまで1か月を切りました。
まずはぞれぞれ、よく食べよく寝てよく笑い、人生を謳歌しながら、譜読み体験を重ねておきしょう♪
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